ハリーハウゼンは実写のロケに立ち会い、太陽が出ている方角や照明の位置をメモしておいて、特撮部分をそれに合わせて撮影したそうです。職人魂を感じるエピソード。ちょっと残念なのは同じシーンの繰り返しが多く、もう一工夫欲しかったところ。

機械的な正確さをアニメートるのはかなり大変だと思うのですが、やはりよく見ると所々円盤がふらつくシーンが確認できます。しかし、登場シーンの長さを考えるとやはり円盤単体ではアニメートが割と簡単だったのでしょうか?

街の破壊シーンなどは高速度カメラで撮影し、それをスローモーションで見せるのが一般的、というかその手法が理想的なのですが、カメラを買う予算が無く、その部分もハリーハウゼンのアニメーションで撮影される事になりました。

建物が破壊されるシーンでは、なんと建物の破片1つ1つにワイヤーをつけて1コマごとに破片の位置を少しずつ調節して撮影したそうです。考えただけでため息がでる・・・

しかし、結果オーライとは正にこの事。他の映画では絶対に見ることができないシーンとなりました。
ハリーハウゼンのファン以外には陳腐に見えるシーンかもしれないですが、ストップモーションのファンにとっては低予算であったことが幸いしたと言えます。こんなシーンでもハリーハウゼンの職人技が見られることになったのですから。


結局、人類側の「射程距離1350メートル」の新兵器により意外とあっさり侵略者は撃退されてしまう。
「彼らはまた来る?」
「来るものか」
海岸でマービン夫妻が仲良く手を取り合って、THE END

この映画も空飛ぶ円盤の造形や、ハリーハウゼンのアニメートによる、そのユニークで個性的な動きの素晴らしさにより映画史に名を残していると言えるでしょう。
それ以外の見どころはファン以外にはあまり多くはないB級作品です。展開は単調そのもの。ハリーハウゼン自身も語っているように、製作時間が十分に取れなかったため、脚本や音楽も満足いかないものになってしまったようです。

だが、この映画はそれでいいのだと思う。他の映画では宇宙人の乗り物として添え物的にしか登場しない円盤が、この映画では全編出露出しまくりで世界各都市の名所を破壊する。もはやストーリーなんて関係ありません。

とにかく、この映画ではハリーハウゼン手作りの円盤を堪能すべし。

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